[映画]禅 Zen

 禅 Zen(高橋伴明 監督)を見ました。DVD鑑賞です。
それでは、以下、いつものようにがっつりネタバレです。

私のような浅学にも理解できる内容でした。人に勧めるかと言えば「映画だと認識したうえでの」お勧め作品です。
小生意気に注釈をつけたのは、史実がひん曲がっちゃってる(道元の最期は永平寺ではなく京都です)のと、道元が蓮の花に乗って上空に飛ぶというファンタジーのぶっこみ、内田有紀さん演じる・おりんの存在の意味が難解なためです。
おりんの存在については、改めて考えてみると、女人に厳しかった当時の仏教のなかでも、曹洞宗はジェンダーの隔たりがなく、さらに過去の経歴も問われない、というメッセージと捉えることもできます。ただ、入宋までは盛りすぎかな。文盲での留学は今の時代でも厳しいお…。猛勉強したのかもだけど。
 観ていて興味深かったのは僧堂の変化。興聖寺の場面では、今の曹洞禅のスタイルではなかったようですが、永平寺の場面では、今とあまり変わらないスタイルになっていたところです。単で、寝食も坐禅もするよ、っていうやつ。逆に考えると、永平寺開山が1244年なので、800年近く同じことが続いているって凄いです…(映画なので、ある程度の脚色はされているのでしょうけれど)
坐禅のスタイルは、京都の場面から壁に向かい、手を法界定印に組むという曹洞禅のそれでした。
ちなみに、臨済宗でも同じように単で、寝食、坐禅も行うそうです。坐禅の方法は若干異なります。
 それから、作品ラストで永平寺山門から沢山の和尚様が般若心経を唱えながら出てくる場面があります。この時の和尚様たちの袈裟をよーく見ると、永平寺風と総持寺風の両方が見られて面白いです。袈裟を折り畳むのが永平寺風、ラフに肩でなびかせるのが総持寺風です。
 
出演俳優さんたちについても少し。
道元役に中村勘太郎さん、歌舞伎役者だけあって、佇まいがとても美しかったです。勘太郎さんに関しては、シルバーソウル的な映画でのマッパで素振りがインパクト強すぎて、そのイメージしかなかったのですが(失礼すぎる)脳内データの上書きができました(笑)こちらのほうが作品としては古いのですが。
景徳寺(かな?)の老典座役に笹野高史さん。「ただの飯炊きですけー」と矍鑠に笑う姿が素敵でした。老僧はかくあるべしー。それにしても、作品は10年近く前のものですが、今と殆ど顔形が変わってないです。笹野さんって、ずっとお爺さんなのか…!?
北条時頼役に藤原竜也さん。メイクによるところも大きいのでしょうが、憑き物にとりつかれている時と、憑き物が落ちた時の差が歴然…!!
それにしても、笹野さんに対して、藤原さんはいつみても若いですね。綺麗な顔立ちですよねえ。あの八重歯と危うい感じがたまりません。道元を斬るつもりが不貞腐れて坐る場面が特に好きです。駄々を聞いてもらえなかった子供みたいな演技が可愛すぎです。
おりん役に内田有紀さん。作中での彼女の存在意義は難しいところですが、内田さん本人は、きれーい!若いころのボーイッシュな感じも良かったのですが、今の「綺麗なお姉さん」な感じは、もっと良いです。美男美女の鑑賞は日々の活力になります。これで明日からの仕事も頑張れるってもんだわー。

あれこれと好き勝手に書き散らかしましたが、日本三禅宗(曹洞宗、臨済宗、黄檗宗)の違いや、日本仏教の流れ、比叡山(作中では「叡山」と称されていました)が当時、いかに権力を持っていた(権力どころか軍備も保持してました)かなど、中学歴史程度の理解があれば、存分に楽しめる作品です。もし、すっかり忘れてしまっていても、この作品を見たことがきっかけに、日本史や日本仏教に興味が沸いたら、それは素晴らしい僥倖ですし。作中ところどころで隠し切れない昭和の香りというか、角川感も面白い作品でした。

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